プロと素人の漫才の違い
Mー1の一回戦は素人を落とすためのものです。
正確には素人に見える漫才を落とすのが目的です。
なので、学生でも主婦でも素人に見えなければ受かります。
逆に、事務所に所属していても素人に見えると落とされます。
素人(アマチュア)漫才の特徴
声が小さい
棒読み
ネタがわかりにくい(構成が悪い)
笑えないつかみをする
テンポや間が悪い
興味がわかない設定
自分の特徴を活かせていない
印象に残らない(設定、キャラ、ボケ、ツッコミ)
これらを改善していけば受かる可能性がグッと上がります。
そこでこの記事では笑いが起こるシステム、プロの漫才師がおさえている漫才の基本、プロが取り入れているネタの作り方、ウケやすいネタの構成と設定、M−1の審査員に印象を残す漫才のスタイル、Mー1で勝つための作戦、プロに見える舞台での立ち振る舞いについて解説します。
最後まで読めばプロの漫才師の領域に踏み込めるよ
・これから芸人を目指す人
・素人でMー1に挑戦したい人
・お笑い系のYOUTUBEの動画制作者
・Mー1の一回戦を合格できない芸人
・結婚式の余興で爆笑をとりたい意識高い系の人
内容に入る前に簡単に自己紹介するね
自己紹介
私は、現役教師、現役芸人の二足のワラジで約10年ほど吉本興業に所属していました。現在は現役高校教師、元芸人です。
ちなみに、高校では、生物、化学、物理を担当しています。
教師として10年以上教壇に立ち続け、芸人として10年間舞台に立っていました。
授業が終わった2時間後には舞台に立って漫才をすることもよくありました。
理系で教師であるため漫才を客観的に分析しまとめるのが好きでした。その内容をこちらの記事に書きました。
2015年 第4回関西演芸しゃべくり話芸大賞 準優勝
2016年 第4回セルシーお笑いグランプリ 優勝
2017年 第6回関西演芸しゃべくり話芸大賞 敢闘賞
2018年 第1回Q-1グランプリ 優勝
M-1 グランプリ 3回戦進出
この記事を読む前に【漫才の種類とネタの種類】【漫才のフリ、ボケ、ツッコミ】の記事を先に読んでね。
元プロ芸人がネタの作り方を公開 漫才の種類とネタの種類を解説
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元プロ芸人がネタの作り方を公開 漫才のフリ、ボケ、ツッコミを解説
笑いが起こるシステムを取り入れる
緊張と緩和
緊張感がある場面で予想だにしない気が抜ける事象が発生すると笑いか起きます。この場合、緊張がフリになっています。
(例)キレている上司のヅラがズレている
漫才においても緊張感がある設定にすることでボケが作りやすくなります。
(例)設定:手術、クレーム対応、強盗、ケンカ、刑事ドラマの殉職シーンなど
ギャップ
見た目や内容から想像されるものと違うと笑いが起きます。観客が予想した答えの裏切りです。
(例)コワモテの人の声がめっちゃ高い
漫才においても設定やキャラのイメージと違うものでボケを作ります
(例)暴走族のチーム名が「青年海外協力隊」
共感
日常で経験したことを再度認識すると笑いが起きます。あるある。漫才では例えツッコミで使うことがある。
(例)マーク式テストで同じ数字が続いたときくらい不安やわ!
漫才においても序盤に共感の笑いを入れることでウケやすくなります。
(例)設定が小学校のネタで先生を「お母さん」と言ってしまうボケ
プロは意識している。つかみ、ツッコミ、ボケの基本
はじめてツッコんだ。はじめてボケた。という意識をもってネタをして下さい。事前に台本を書いて、何回も練習して、何度も人前で披露したネタだとしても『今はじめて話しています』というのが大前提です。
つかみの基本
つかみは名刺です。つかみでどちらがボケかツッコミなのかをわかってもらいます。また、ボケのキャラをお客さんにわからせることができます。つかみをすることでコンビの事前情報がわかり本ネタがウケやすくなります。逆につかみですべると終わりです。マイナスからのスタートです。すべるぐらいなら無理に入れてはいけません。また、本編のネタのキャラと関係ないつかみはオススメしません。アホキャラならアホなボケをつかみでする必要があります。
ツッコミの基本
ボケに対してまず短くツッコミます。そのあとにボケの意図をお客さんにわかりやすく伝えたり、よりボケを際立たせるために補足のツッコミを入れるイメージです。初めに長くツッコむとテンポとキレが悪くなります。
(例)ボケ:最近暑いですねー、8月でこんだけ暑いと12月はもっと暑くなるでしょうね
◎ツッコミ:ならんわ!冬は気温下がるねん。
✖️ツッコミ:12月は冬で気温下がるから暑くならへんねん!
まず短くツッコむ!そのあとに補足が基本。
ネタが進むにつれて徐々に感情を高めてツッコむのも重要だよ
ボケの基本
フリがあるボケになっているか。自分のキャラにあっているボケになっているか。この2点を押さえましょう。
基本的にはフリ→ボケ→ツッコミの順でネタを作ります。この時に重要なのが考えたボケにフリがあるかどうか。フリが間違ったボケになっていないかどうか。フリがあって初めてボケが成立します。フリについては次の記事を参考にして下さい。
元プロ芸人がネタの作り方を公開 漫才のフリ、ボケ、ツッコミを解説
また、自分のキャラにあってないボケはみていて嘘くささや無理が生じて笑いにくくなります。自分を客観的にみて自分にあったボケの演じ方やボケの方向性を見つけて下さい。特にしゃべくり漫才の場合は普段の性格をやや誇張して表現することが重要です。
無理が生じるキャラ
(例)真面目で賢そうに見える人がアホキャラを演じる
真面目で賢そうに見えることをフリにした設定の漫才はありだよ
プロがおさえている漫才を作る基本
二人で作る
漫才は二人でやり取りするものです。一人が全てネタを考えるとコンビの関係性が悪くなることが多いです。また、自分にない発想が相方からでることもあるので協力して作る方がいいです。ネタ作りの割合が10対0のプロのコンビもいますが、はじめのうちは2人で話し合って作りましょう。
普段通りの口調にする
台本を書くと普段の話し方ではない言い回しになることがあります。特に相方のセリフを書くときは普段の口調になっていないことがあるので二人で読み合わせて修正するようにして下さい。セリフ口調になるとウケにくいです。
セリフ配分を意識する
コンビの関係性やネタにもよりますが理想は5対5もしくは6対4の比率です。9対1や8対2になると漫才の掛け合いが作れないため感情をのせたネタになりにくいです。感情がのったネタの方がウケた時に大きな笑いになります。
はじめは同じくらいのセリフ量を意識してネタを作っていき、コンビの関係性やネタの方向性が決まったらそれに合った比率に変化させていきます。
はじめはネタ時間を考えない
2分ネタだからと言って2分の分量のボケを考えるのではなく、思いつくだけ考えます。その後に、2分に収まるように編集してください。最終的にネタ尺に合わせにいく方がネタのクオリティは上がります。
ひとつのフリでボケをたくさん考える
実際にネタをするときに一つのフリに一つのボケだったとしても、
考える段階ではボケを出し尽くして下さい。一つのフリに20個、30個とボケ案を出します。その中から一番ウケそうなものをチョイスします。
ボケの種類を考えて振り分ける
たくさんボケ案を出したあとにボケを種類ごとに分けます(タイミングボケ、失礼ボケ、動きボケなど)そして、ネタ全体を通して同じ種類のボケが連続しないように振り分けていきます。逆に同じボケを繰り返す設定のネタもあります。
ツッコミの種類や言い回しを意識する
「なんでやねん」「やかましいわ」など万能なツッコミを繰り返し使っていないか注意して下さい。ツッコミにも種類があります(例えツッコミ、リアクションツッコミなど)ツッコミの言い回し次第でボケが強くも弱くもなります。また、ツッコミで笑いを取ろうとし過ぎると不自然なやり取りになります。ボケで笑いをとるのを基本にしてください。
プロが漫才の台本を作る流れ
- 設定を考える
- 設定の中で役割を決める
- 話の展開、ストーリーを考える
- ボケとツッコミを考える
- ボケの種類分け
- ネタの流れに沿ってボケを入れ込む
- ネタ合わせ
- ボケや流れに違和感があれば直す
- ネタ見せ
- ウケなかったところを改良
設定の作り方について補足で説明するね
設定の作り方
キャラを活かした設定にする
自分たちのキャラを客観的にみてそのキャラに合った設定を考えます。特にボケのキャラが活かせる設定がいいです。
(例)ボケの人がアホキャラの場合の設定
✖️幼稚園児、小学生など
◎弁護士、教師など
幼稚園児や小学生はまだ常識がないのでアホな行動をしても普通です。それに対して、弁護士や教師がアホな行動をすると非常識です。賢く見える職業がフリになるのでアホなボケを活かすことができます。逆に幼稚園児のボケを考えるときは幼稚園児がしない賢い言動がボケになります。
正解がある設定にする
クイズ、よくあるドラマの場面、お店の接客など一般的に知られているものを設定にします。正解(常識)を想像しやすいので聞き手の想像をズラすとボケになります。
(例)ファミレスの接客 ボケ:店員 ツッコミ:お客さん
ツ:「ウィン(入店)」
ボ:「煮込みハンバーグお一つでよろしいでしょうか?」
ツ:「よろしくないわ!まず席案内して」
入店すると『人数を聞かれ席に案内される』という常識をズラすとボケになるよ
決まったプログラムがある設定にする
体育祭、結婚式など段取りが決まっているものは段取りの内容自体がフリになるので比較的ネタが作りやすいです。ツッコミが段取りを説明してボケがその流れに沿ってボケていきます。
新郎入場→新婦入場→讃美歌斉唱→牧師の聖書朗読→愛の誓い→指輪の交換→誓いのキス→結婚宣言→結婚証明書のサイン→新郎新婦退場→フラワーシャワー→ブーケトス
全項目をフリに使う必要はないよ。一般的に知られている項目やボケやすい項目を使おう
ツ:「ブーケトスがあって、花嫁がブーケを投げるねん」
ボ:「おりゃーーー(ハンマー投げ)」
ツ:「ヨメ室伏広治か!」
ウケやすいネタの構成
- つかみ
- あるある
- ありそうありそう
- ないない
自分たちのキャラとボケとツッコミの関係性をわかってもらう
あるある
共感の笑い。ウケやすい。ネタの初めに入れることで笑いやすい空気になる。
ありそうありそう
よくあることではないが起こっても不思議ではないボケ
ないない
ありえないことをするボケ。ネタの最初にもってくるとウケにくいため段階を踏む必要がある。すでにお客さんに認知されている有名人は別。
つかみ→あるある→ありそうありそう→ないないの順番でネタを構成していきます。
ボケ→アホなキャラ
ツッコミ→結婚式の流れを紹介していくつかみ
ツ:「自己紹介させていただきますね。僕が〇〇と言います」
ボ:「そして僕の名前が、えー、、、」
ツ:「自分の名前忘れんなよ!」
あるある
ツ:「新郎が入場してくんねん」
ボ:「(緊張して右手右足が同時にでる)」
ツ:「緊張しすぎや」
ありそうありそう
ツ:「ケーキ入刀はシャッターチャンスや。声かけて写真撮るねん」
ボ:「どんなん感じ?」
ツ:「おーいこっち向いてくれカシャ(写真撮る)」
ボ:「なるほど。おーい、こっち向いてくれ、、、(笑顔)」
ツ:「写真とれや!なんでこっちむかせてん」
ないない
ツ:「一番感動するのが花嫁の手紙や。色んな感情が込み上げてくるねん」
ボ:「お父さんお母さん(泣く)今まで育ててくれて(怒る)ありがとう(笑う)」
ツ:「情緒不安定か!感情がバラエティに富すぎてるわ」
後半に行くにつれてボケがありえない言動をとっていくためツッコミのテンションも徐々に上げていきます。
後半にボケのレベルを上げて盛り上げる以外にもボケの数を多くしてたたみかけて盛り上げる方法もあるよ
Mー1で一回戦勝つための2つの型
ボケ連打型
ある程度強いボケ(ありそうありそう以上)を2分間たたみかけてボケ続けるパターンです。ボケのターンのセリフは全部ボケるようにして下さい。2分間で15〜20個です。開始から20秒以内に最初のボケを入れましょう。
この型に合っている漫才のスタイルは漫才コントとシステム漫才です。システム漫才とはミルクボーイさんのいったりきたり漫才やぺこぱさんのツッコまない漫才のように〇〇漫才とタイトルがつくようなスタイルです。
もしくは、一つのボケをひっぱる形式です。例えば、腹立つポイントが全部ズレている。例えツッコミが全部的はずれ。あとは羅列形漫才です。羅列型とは同じシチュエーションや同じフリに対して大喜利的にボケていくスタイルです。
大ボケ単発型
フリを大きくして強いボケをいかす漫才です。この型にあっているのはボケのキャラが際立った漫才や設定が特殊な漫才コントです。ボケのキャラが際立った漫才で言うとスリムクラブさんやメイプル超合金さんや天竺鼠さんです。天竺鼠さん、スリムクラブさんは独特な世界観を作り出してからのボケ。メイプル超合金さんは大喜利型に近いですが、一発のボケの威力が高いです。設定が特殊な漫才コントは男性ブランコの音符運びのネタやマジカルラブリーさんのつり革ネタです。コントの発想を漫才におとし込むイメージです。
Mー1で勝つための作戦
ネタを2本準備する
前の組や同じブロックのコンビとネタが被ることがあります。前の組なら被ったことをつかみで使うことはできますが、中途半端に組が空いている場合はあまり効果的に使えません。また、事務所に所属していて芸人は事前に審査員を調べてください。審査員によってネタの好みがあります。普段ダメ出しなどで交流がある場合は審査員をする作家さんが好むネタをするのも作戦のうちです。作家さんのSNSを調べると当日Mー1の審査があることをつぶやいている場合があります。また、後半ブロックなら事前に会場に足を運び確認することもできます。
勝つためのネタの構成
出だしに強いボケをもってくるようにして下さい。最初にお客さんに注目してもらわないとそのまますべり続けます。最初と最後にインパクトが残るボケをもってくる構成がおすすめです。
ネタ時間が短い賞レースでは『つかみ→あるある→ありそうありそう→ないない』の基本を守っているヒマはないよ
見た目を意識する
素人の方に多いのが私服に近いラフな格好で舞台に立つことです。キャラやコンビの方向性が決まっていないのであれば、スーツを着てください。スーツもサイズが合っているものを着てください。学生なら制服を着ましょう。ラフな格好は素人に見えます。Tシャツにジャケットも素人に見えます。ちゃんとネクタイをして下さい。アマチュア感がでるとMー1の1回戦は落ちます。
また、髪型にも気を配ってください。事前に髪の毛を切って清潔感を出して下さい。見た目で嫌われるとネタを聞いてくれないこともあります。
プロ感がでる漫才の実演方法
- 元気よく、腰を低く
→ネタやキャラにもよりますが、基本元気よくする方が好印象です。また、偉そうにしていると好感度が下がります。嫌われると笑ってもらえません。 - 普段より少し高めの声
→少し声を高くする方がお客さんの耳に届きやすくなります。小さい子どもの声や赤ちゃんの泣き声ってよく響きますよね。声が高いからです。 - 少しゆっくりに話す
→緊張すると早口になります。少し遅く感じるくらいが聞き手にはちょうどいいスピードになります。また、自分のネタは何回も練習をして内容を知っていますが、お客さんは初めて聞きます。相手が理解できるスピードを意識しましょう。 - 間を意識する
→素人はツッコミが早くなりがちです。次にくるボケを知っているためすぐにツッコンでしまいます。でも漫才は今初めて聞いた感を演出しないといけません。少し考えないとわからないボケに対してはツッコミも少し考える間が必要です。
また、話題を変えるときに変な間があきやすいので話題を変える人は固定するのがおすすめです。 - 表情動きリアクション
→台本を書くときはボケのセリフやツッコミのセリフだけに意識がいってしまいます。言葉も重要ですがそれ以上に演者の表情や動きなどの視覚情報も重要です。 - 目線
→素人は相方の方ばかり見て漫才をしがちです。客席側にも目線を送ってください。最初は舞台に近い客席に目線をやり徐々に遠くの方に目線を送り客席全体を見渡します。 - フラフラしない
→素人は手持ちぶたさで髪の毛を触ったり服の裾を触ったりと漫才中落ち着きがないです。緊張していても堂々と振る舞うようにして下さい。録画して自分の姿を確認して下さい。 - 笑い待ちを意識する
→笑いが起こったときに少し待ってから次のセリフを言うようにして下さい。すぐに次のセリフをいうとその部分が聞き取れなくなり次のボケでウケなくなります。またセリフを言うことでお客さんが話を聞こうとして笑いを止めてしまいます。せっかくウケたのに笑いの量が減ります。笑いが止まる手前で次のセリフにいってください。笑いがすべて止まってから次にいくと変な間ができてしまうので、笑いが止まる手前で次にいくのがポイントです。
練習するときは録画して客観的に自分たちの漫才を見よう
まとめ Mー1 一回戦合格するために
まずは基本の漫才の作り方、実演方法をしっかりとおさせて下さい。そこから自分たちにしかできないオリジナリティのあるネタ(ネタの設定や演者にキャラ)を作って下さい。1回戦は組数が多いので印象に残すことが大事です。自分たちのキャリアや見た目など他のコンビと違う色が出せるところを探してください。そこを主体としたネタ作りを意識してください。一度作ったネタは何度か試して改良していきましょう。人前でするのが難しい素人の方は第三者にネタの台本を見てもらいましょう。
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