漫才の3大要素フリ、ボケ、ツッコミ
フリとボケとツッコミでワンセットです。漫才はフリ、ボケ、ツッコミのセットがいくつも合わさってできています。どれか一つでも欠けてしまうと漫才は成り立ちません。
フリもボケもツッコミも様々なパターンがあります。自分が好きな芸人のネタはどのパターンのフリ、ボケ、ツッコミが多いのか。自分が漫才のネタを作るときにどのパターンの組み合わせが合っているのか。漫才を見て楽しむ人も漫才を作る人も知っていて損はないです。最後まで読むとあなたのお笑い力は確実にレベルアップします。
・現在芸人として活動している人
・お笑いが好きでもっと詳しくなりたい人
・文化祭や結婚式の余興で漫才をすることになった人
内容に入る前に簡単に自己紹介するね
自己紹介
私は、現役教師、現役芸人の二足のワラジで約10年ほど吉本興業に所属していました。現在は現役高校教師、元芸人です。
ちなみに、高校では、生物、化学、物理を担当しています。
教師として10年以上教壇に立ち続け、芸人として10年間舞台に立っていました。
授業が終わった2時間後には舞台に立って漫才をすることもよくありました。
理系で教師であるため漫才を客観的に分析しまとめるのが好きでした。その内容をこちらの記事に書きました。
2015年 第4回関西演芸しゃべくり話芸大賞 準優勝
2016年 第4回セルシーお笑いグランプリ 優勝
2017年 第6回関西演芸しゃべくり話芸大賞 敢闘賞
2018年 第1回Q-1グランプリ 優勝
M-1 グランプリ 3回戦進出
【漫才の種類とネタの種類】の記事を読んでからこの記事を読むことをオススメします。
フリがあるからボケが成立する
プロと素人のネタの違いはフリを使えているかいないかです。プロのネタはフリをしっかりと作れていて、フリをいかしたボケになっています。素人はフリがなかったり、フリが間違っていたり、フリを無視したボケになっています。フリのないボケはボケではなくバカです。
- プロのネタ→フリがある。フリが正しい。フリを使ったボケになっている。
- 素人のネタ→フリがない。フリが間違っている。フリを使ったボケになっていない。
(例)ネタの設定:自動車学校(教習所)
ボケ:教官 ツッコミ:生徒
フリがないボケのパターン
ボケ「担当教官させてもらう ごりらだゴリオです」
ツッコミ「どんな名前やねん!」
フリをいかしたボケのパターン
ボケ「担当教官させてもらう、しゅきおび ジコオです」
ツッコミ「どんな名前やねん!」
どのようにフリを作ってボケるかはセンスだよ。ただ、フリがあって初めてボケが成立することは覚えておこう!
フリからみたボケの5つのパターン
ここから(例)に出てくるボはボケ、ツはツッコミのことだよ
- フリに対して同じことをする
(例)
Aくん「このシャツめっちゃ臭いで!ニオってみて。」
Bくん「(ニオイかぐ)くっさ!!!!」チャリヤマ大げさにリアクションをとることでウケやすくなる
- フリに対して反対のことをする
(例)
Aくん「押すなよ!絶対に押すなよ!」
Bくん「(押す)」チャリヤマダチョウ倶楽部さんの熱湯風呂がいい例だ
- フリの意味を誤解する
(例)ラーメン屋の漫才コント
ボ「こちらラーメンになります(提供する)」
ツ「どうも」
ボ「麺の硬さどうされますか?」
ツ「タイミングおかしいやろ!もっと早く言え」(ツッコミがフリになっている)
ボ「麺の硬さどうされますか?(早口でいう)」
ツ「そういう意味じゃない!」チャリヤマ好きな人には甘い言葉を言うねん。というフリに対して「チョコレート」と言うのも同じパターンだ。
- 既存のもの(常識)をフリに使う
(例)桃太郎の仲間は犬猿雉という誰もが知っている知識をフリにして桃太郎の仲間を変化させる。
(例)誰もが知っていることわざの『犬も歩けば棒に当たる』の犬の部分や棒の部分を違うものに置き換える。チャリヤマドラえもん、サザエさん、アンパンマンなどの有名アニメのパロディもこのパターンだ
- フリと関係ないことをする
(例)
Aくん「このシャツめっちゃ臭いで!ニオってみて。」
Bくん「(シャツを口に入れる)まずっ!!!!」チャリヤマいわゆるシュールなボケだ。変なことをするキャラが確立していない状態でやるとウケないことが多いので注意
フリが大きくなればボケが強くなる
フリがしっかりできていれば同じボケでも強くなります。走り幅跳びで例えると、ジャンプがボケで助走がフリ、飛距離がウケの量。同じAくんがジャンプ(ボケ)しても助走(フリ)がしっかりとれていると飛距離(ウケの量)が伸びる。というイメージです。
フリを強めるもの
- 演技力
①漫才コント・・・キャラになりきってボケる。キャラのフリが効いてボケが際立つ。
(例)ヤンキーキャラ(フリ)が優しいことをいう(ボケ)
②しゃべくり漫才・・・熱量をもって話す。説得力が増してボケが際立ちます。
(例)かまいたちさんのネタ:映画のトトロを観たことないという自慢を熱弁する - セリフ内容
ボケにもっていくまでのセリフの表現を変えることでボケが際立ちます。
(例)野球部の漫才コント
フリが弱いセリフ
ボ「野球部辞めるのか?」
ツ「ほっとけよ!」
ボ「オッケー」
ツ「切り替え早いな」
フリが強いセリフ
ボ「甲子園の夢あきらめるのかよ!一緒に甲子園行くって約束しただろ!本当に野球部辞めちまうのかよ?」
ツ「ほっとけよ!」
ボ「オッケー」
ツ「切り替え早いな」 - 見た目
キャラクターにあった衣装や髪型にすることでそのキャラのフリが際立ちます
(例)
ナダルのジーパンに白のタートルネック衣装→異様さUP
銀シャリさんの青いお揃いのスーツ→正統派漫才師を演出
春日さんのピンクベストとテクノカット→個性を際立たせる - 状況
ボケが発生する状況(フリ)によってボケの面白さが変わります(例)熱湯風呂の「押すなよ!押すなよ!」
フリが弱い状況
ゆげが立っていないぬるま湯
フリが強い状況
ゆげが立っている熱湯or事前にお湯に手を入れて「熱い!」とリアクションをとっている
ボケの種類
上記でフリに対する5つのボケのパターンについて解説しましたが、ここではさらに細かくボケのパターンを分けていきます。
- 言葉遊び
ダジャレや上手いことを言うボケ - 動きボケ
動きで笑わせるボケ - 顔ボケ
表情で笑わせるボケ - ながらボケ
同時に二つ以上のことをするボケ
(例)筋トレしながらプロポーズする - すかしボケ
本来するべきところでしないボケ
(例)熱湯風呂の「押すなよ!押すなよ!」で押さない - あるある
日常生活の中で体験したり見たことがある共感の笑い
(例)高齢の理科の先生知識あるけど授業わかりにくい - 過剰ボケ(盛る)
数値や単位または行動や表現を大げさに言う。逆に極端に少なく言う場合もある。
(例)
「講演が始まる前に携帯電話をお切り下さい」
→「講演が始まる前に携帯電話をご解約下さい」 - 状況ボケ
状況に相応しくないことをするボケ
(例)怒られてるのに寝る - 自虐ボケ
自分の見た目や境遇を嘆いたりネガティブな妄想をするボケ
(例)
OL「どうしよー髪切りすぎちゃった」
ハゲの上司「そんなんで悩むな。俺なんか切る髪ないんだぞ!」 - いじり
自虐ボケの逆。相手を貶めて笑いをとるボケ。 - 失礼ボケ
目上の人や顧客に対して失礼なことを言うボケ。いじりボケのうちの一つ。
(例)上司やお客さんにタメ口で話す - 勘違いボケ
同音異義語(言い方は同じだが意味が違う)を状況にふさわしくない意味の方でとらえるボケ。また、言葉の聞き間違えもこのパターン。
(例)同音異義語:(タイミングを)はやく言えよ→(スピードを)はやく言う
(例)聞き間違え:ゴディバのチョコ→ゴリラのチョコ - 具体化、抽象化ボケ
予想される答え以上に具体的に言ったり、すでにあるのものや言葉を具体的に変化させるボケ。抽象化ボケも同じ方法。
(例)具体化:犬も歩けばうまい棒に当たる→棒や!なんでお菓子やねん。
(例)抽象化:好きな動物は哺乳類です→くくりデカいな! - 下ネタ
笑いを誘う目的で使われる排泄的、性的な話題や言葉 - キャラボケ
漫才コントの設定に登場するキャラをいかしたボケや本人の元々の見た目や性格をいかしたボケ - タイミングボケ
本来のタイミングをズラしたボケ
(例)ラーメン屋の漫才コント
ツ「新しいラーメン屋か。入ってみよ。ガラガラ(入店)」
ボ「お会計950円になります」
ツ「まだ注文もしてない」 - 場所ボケ
場所に似つかわしくない言葉を発したり行動をとるボケ
(例)ヤンキーの決闘の漫才コント
ツ:「俺をこんなところに呼び出すとはいい度胸だな」
ボ:「お前と戦うには校長室と決めていたんでね」
ツ:「どこに呼び出してんねん」 - 暴走ボケ
テンションが上がりすぎたり、妄想が行き過ぎた状態のボケ。突然我に返ったり、強くツッコむことで暴走を止める。 - 感情ボケ
テンションの高いところから急にテンションを下げたりと感情の起伏の激しさを表現するボケ。逆ギレも含まれる。
(例)
ボ:「どうもー!!よろしくお願いしまーす!(元気よく)」
ツ:「お願いします」
ボ:「悩みがあるねん(テンション低く)」
ツ:「情緒不安定か!」 - ギャグ
動きや言葉の響き、リズム、替え歌などの単発のボケ - 内輪ボケ
お客さんが知らない個人的な話しをするボケ。「誰が知ってんねん」というツッコミとセット。 - 三段オチ
①一つ目フリ、二つ目フリ、三つ目ボケ
②一つ目フリ、二つ目小ボケ、三つ目大ボケ
③三つ揃って一つのボケ
(例)桃太郎の仲間 犬猿雉を変えるボケの場合
①犬、猿、ヒヨコ→ヒヨコ戦力ならんやろ!
②犬、ゴリラ、鬼→序盤に鬼出てきた!
③チワワ、ポメラニアン、マルチーズ→全部犬やないか! - 天丼
一度したボケを間隔を開けてもう一度ボケること - かぶせ
一度したボケを間隔を空けずにもう一度ボケること。全く同じボケとは限らず同じジャンルのボケでもいい。また他者がしたボケにのっかる場合もかぶせになる。 - 失敗ボケ
わざと失敗するボケ。すべり芸もこれに含まれる。 - シュールボケ
フリと関係のないボケや独特な世界観のキャラが生み出すボケ。ベタの逆。
ツッコミの種類
ツッコミはボケの意味をお客さんにわからせるもの。または、ボケの面白さを増幅させるものです。ここではツッコミのパターンを分けていきます。
- 否定
「なんでやねん!」「おかしいやろ!」といった一番オーソドックスなツッコミ。変なこと(ボケ)に対して大雑把に否定する。 - 訂正
正解があるもの(常識)を間違うボケに対して正解を示すツッコミ。
(例)ボ「桃太郎の仲間は犬猿ヒヨコ」→ツ「雉や!」
(例)ボ「犬も歩けばうまい棒に当たる」→ツ「棒や!」 - 感想
「腹立つな」「しんどいわ」「うっとしいな」など自分の感情を言うツッコミ。 - 補足(説明)
ボケの意図や意味をお客さんにより伝わるように補足するツッコミ。
否定+補足のように組み合わせって使うことが多い。
(例)なんでやねん!この状況で〇〇したら〇〇なるやろ! - ノリ
ボケに対していきなりツッコまずにのっかった後にツッコむ。 - たとえ
ボケを多くの人が共感できる別のものに例える。
(例)必要のないことを言うボケ→いらんねん!勝手に入ってくるWi-Fiか! - あしらい
ボケに対して「はいはい」「あっそう」など適当にあしらうツッコミ。 - スカシ
ボケに対して無視をする。ツッコむところでツッコまないのでスカシ。 - リアクション
「マジで!」「うそやん!」などのリアクションを取るツッコミ。にらんだり驚いたりと言葉を発せずに表情だけでツッコミパターンもある。 - 納得
ボケが正論を言ってきたときやあるあるネタを言ったときに「確かにあるけど!」「なるほどな!」と納得するツッコミ - 誘い笑い
ボケに対して笑いながらツッコむ。やりすぎるとお客さんが冷めるので注意が必要。 - キレ
「やかましいわ!」「ええ加減にしろ!」など怒りの感情を出したツッコミ。 - ドツキ
頭やほっぺたを叩いたり、お尻を蹴ったりするツッコミ。 - 繰り返し
「待て待て」「おいおいおいおい」など同じ言葉を繰り返すツッコミ。 - あきらめ
「勘弁してくれ」「もうわけわからんわ」などボケに対してあきらめの言葉を使うツッコミ。
まとめ 漫才を作る手順
フリ、ボケ、ツッコミはこんなにもたくさんの種類があります。素人の方は漫才を作るときにまずフリができているかどうかをしっかりと意識してください。作ったあとは自分が考えたボケやツッコミがどのパターンなのか分けていきます。
お笑いに関する相談(ネタの作成、改良、芸人になるためには)はココナラで受け付けています。
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